編集長・石井の「華麗なる雑念人生」

あれもしたい、これもしたい。人生をもっともっと楽しみたい! そんな欲張りな考えのもと、人生を謳歌する編集長・石井の雑念にまみれた日々をお届けいたします。今回は、“究極の食養生”とされる「五行和漢メニュー」のお話。日本屈指の中国料理店であり、LEONにも度々登場する「ザ・ペニンシュラ東京」内『ヘイフンテラス』にお邪魔してきました。猛暑の折、心と体を労るには最高のお料理!


名古屋で190年の歴史を持つ老舗薬局「和薬・漢方の本草閣」。その第九代目当主である薬剤師、秋山あかね氏とのコラボレーションで生まれたのが、この「五行和漢メニュー」。「和漢」とはいわゆる漢方のことで、中国医学を基に、日本の気候や風土に合わせて独自に発展を遂げたもの。そのスペシャリストである秋山氏監修の下、陰陽五行論に基づき、人間が先天的に持つものだけではなく、日々の生活習慣などによる体質に合わせ、薬膳食材を取り入れているメニューとなります。一品目に登場は、「秋田県産ジュンサイとスベリヒユ 龍井茶の香り 冷たいスープ」。いかにも漢方的な苦味の効いたお味ですが体を冷やす効果があるそう。ぷるんぷるんのジュンサイの喉越しを楽しむうちに不思議と口内と胃袋がスッキリ。食欲が湧いてきました。

二品目に登場は「活鮑とワカメ トマトの蓮の胚芽マリネ 牛タンと白苦瓜の淡豆鼓麦芽炊き チャーシューとアロエの蜂蜜金銀花和え 酸棗仁 桑の実 アグー豚 南瓜 道明寺粉蒸し 佐久産ピュアホワイトと有明産車海老 生薬人参の小籠包」。ふぅ〜(笑)。前菜5品の盛り合わせは、体を冷やして休める、温めて休めるというバランスのとれた食材で、いずれもしっかり旨味はありつつ優しいお味でした。

今回のメニューでボクがもっとも気に入ったのが、こちら。「鴨肉とタラバガニ 海老 干し牡蠣 ハト麦 車前子 淡竹葉 モッカ 五加皮入り 冬瓜蒸しスープ」です。大きな冬瓜がくり抜かれ、そこに入った温かいスープをいただくのですが、お皿によそう際には柔らかく蒸された冬瓜の果肉を削り取って入れてくれます。なんとも滋味深く、思わずおかわり!と叫びたくなったほど。口内から食道、胃へ、と伝わる間に染み渡る感覚でありました。

大きな冬瓜、と書きましたが、ご覧の通り本当に大きい! シェフが約2時間かけてこの絵柄を手彫りするのだそうですが、なんとも緻密。本メニューを体験する際は、必ずや記念撮影を。“映え”間違いなしですから。

こちらのお魚、なんの種類かわかりますか? 正解は鯉。魚の中でも生命力が強く、あらゆる環境下で生きていけるとされる鯉をいただき、その強さを体内に。一般的に泥臭いと思われがちな魚ですが、もちろん杞憂で、ソースも絶品!ほろほろ溶ける身を噛み締めました。「佐久鯉と古代胡瓜の塩漬け檸檬と赤小豆の生薬煮込み」。

締めのひと皿は「宮崎県産地頭鶏のドクダミ 三七人参 春ウコンスープと龍髭麺」。プリミティブなパワーを感じさせる地頭鶏のつけだれが最高で、これまた心と体に染み入って。

最後にスイーツ、薬膳茶をいただいたのですが、これだけしっかり食べてももたれることはなく、体に優しいことを実感しました。和漢で心を体を解放するメニュー。猛暑を乗り切る秘策としてもオススメですよ!

2023夏「五行和漢メニュー」
期間: 2023年 8月31日(日)まで
料金: お一人様 3万円
和漢オリジナルカクテルペアリング付き 3万4500円
和漢オリジナルノンアルコールペアリング付き 3万3800円