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毎週水曜日は、LEON編集部員が日々の誌面作成の過程や、取材で知り得たコトをお届けするコーナーです。今回はLEONの地面師、市村の登場です。
こんにちは、LEONの市村です。
先日、北海道の美瑛町を訪ねた際に、まだまだ知るべきことがたくさんあると思い知らされる出来事がありました。美瑛の酪農家が危機に瀕しているというのです。乳牛を60頭ほど飼育しているというその農家は、美瑛でいうと中規模の部類。年間の餌代はゆうに6000万円を超えます。しかし、いま彼を真に悩ませているのは飼料の高騰ではなく(もちろんこちらも死活問題)、糞の処理です。これまで家畜の糞は近隣の農家が無料で引き取り、自身の畑にまくことで肥料とし、農業の循環の輪を形成していたのですが、そのサイクルに不純物が混ざり、乱れが生じているのです。その不純物が、仕入れる飼料の中に混ざっている種子。飼料の中に隠れた種子は牛の体内で消化されずそのまま排泄され、糞に混じって畑にまかれます。そして翌年、畑に芽が出る季節になると、植えていない種類の作物が芽を出します。その“予期せぬ種”があちらこちらで顔を出すと、除草という作業が新たに発生してしまう。ただでさえ時間的、経済的にギリギリの農家たちがこれを嫌わないはずはありません。結果、この酪農家の糞は引き取らなくなってしまったそうなのです。
この話をしてくれた酪農家の方の傍には、牛糞がふたつ、巨大な山をなしていました。糞を保管しておく倉庫は、規定によって屋根をつけることが義務付けられています。そのためその辺に放置しておくこともできず、自らの牧草地に撒くのも限界があるのです。
これは農家が抱える問題の、ほんの一端です。
家畜の飼料に菌をまぜることで乳牛の体内が浄化され、糞を無農薬栽培のための肥料に進化させる取り組みを、今年この酪農家とはじめます。
飼料の改善
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臭くない糞
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有機栽培を可能にする飼料
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農薬を必要としない農業
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ちゃんと稼いでモテる農家
この新しい循環を目指しながら、日本の農家を憧れの職業に。そのスタートラインを確認した、2025年の年始です。